9月が旬の魚なら「戻りガツオ」。選び方とレシピ完全ガイド

9月のスーパーの鮮魚コーナー、正直ちょっと迷いませんか。まだ夏の魚も並んでいるし、秋の魚は出始めたばかり。何を買えば「今しか食べられないもの」を食べたことになるのか、分かりにくい時期だと思います。
結論から言うと、9月におすすめしたいのは戻りガツオです。スーパーでサクが手に入りやすく、値段もマグロほど張らず、そして年に一度この時期しかない「脂ののったカツオ」が食べられる。迷ったらまずこれ、くらいの気持ちで選んでもらえたらと思います。
この記事では、戻りガツオ一本にしぼって、なぜ今なのか・どう選ぶか・どう食べるかを最後まで掘り下げます。
結論:9月に買うなら戻りガツオがおすすめ。理由は3つ
サンマ、イワシ、太刀魚、アオリイカ。9月が旬とされる魚介はいくつもありますが、そのなかで戻りガツオを推す理由はシンプルです。
1. 味が「今だけ」変わる魚だから。同じカツオでも春と秋で別物と言っていいほど味が違います。
2. 家で扱いやすいから。サクで売られているので、包丁が1本あれば切るだけ。ウロコとも内臓とも格闘しなくていい。
3. 生でも焼いてもいけるから。刺身、漬け丼、たたき、ステーキと、1本のサクで料理の幅が広い。
「旬の魚を食べたいけど、下処理が面倒なのは無理」という人にとって、戻りガツオはかなり現実的な選択肢だと思います。
そもそも戻りガツオって何?初鰹とどう違う?
同じ魚なのに、春と秋で味が変わる理由
カツオは黒潮に乗って日本の沿岸を回遊する魚です。春から初夏にかけてエサを求めて北上してくるのが初鰹。そこから北の海でイワシなどをたっぷり食べて太り、水温が下がる秋に南へ引き返してくるのが戻りガツオです。
つまり戻りガツオは、同じ個体が「夏のあいだに食べ込んで帰ってきた姿」。だから脂ののり方がまったく違います。トロガツオ、脂カツオと呼ばれることがあるのもこのためです。
時期の目安は9月〜11月頃。高知でも東北でも、この時期に「戻り」と表示されたカツオが出回ります。年によって前後するので、9月に見かけなければ10月に入ってからでも遅くありません。

初鰹は脂が少ないぶん、皮ごと炙るたたきにすると釣り合いが取れる。一方の戻りガツオは、もう身そのものに脂があるので、醤油と合わせる刺身や漬けが本領だと言われています。加熱してもパサつきにくいのも、脂があるからこそです。
スーパーでの戻りガツオの選び方
サクで買うのが前提の魚なので、パックの見方さえ分かれば失敗はぐっと減ります。
サクを見るときの3つのポイント
脂がのっているカツオは、皮ぎしの部分が白っぽく、身にうっすら霜が差したように見えることがあります。戻りガツオを狙うなら、そこも見てみてください。
背側と腹側、どっちを買う?
サクには背側(背身)と腹側(腹身)があります。脂が強いのは腹側、さっぱりして身が締まっているのが背側です。
漬け丼や刺身でこってり楽しみたいなら腹側、薬味をたっぷりのせてさっぱり食べたいなら背側、という選び方でいいと思います。ラベルに書いていないことも多いので、脂の白さが目立つほうが腹側、くらいのざっくりした判断で大丈夫です。
生で食べるときに知っておきたいこと
カツオは寄生虫のアニサキスが見つかることのある魚です。厚生労働省も、生食の際の注意を呼びかけています。家庭でできる現実的な対策はこのあたりです。
不安を煽りたいわけではなく、知っていれば防げる話なので、最初に押さえておくと安心して楽しめます。
戻りガツオのおすすめレシピ3品
サク1本(200gくらい)を買ってきた前提で、生・半生・加熱の3方向を紹介します。どれも特別な道具はいりません。サクを切るのに刺身包丁があると気持ちよく切れますが、なければ普通の三徳包丁でも十分です(包丁の選び方は別記事にまとめています →[魚料理の包丁、結局なにが必要?](/article/hocho-guide))。
1. 戻りガツオの漬け丼(調理時間15分・2人分)
まずはこれ。脂がのったカツオに醤油だれがからんで、白ごはんが止まらなくなります。
材料(2人分)
作り方
1. みりんと酒を耐熱容器に入れ、電子レンジ600Wで40秒ほど加熱してアルコールを飛ばし、冷ます。
2. 1にしょうゆとおろししょうがを混ぜ、漬けだれを作る。
3. カツオのサクを7〜8mm厚さのそぎ切りにする。
4. 漬けだれに3を入れ、冷蔵庫で10分ほど置く。
5. どんぶりにごはんをよそい、青じそを敷いて4を並べ、白ごまと刻みのりを散らす。
漬け時間は10分で十分です。長く漬けるほど身が締まるので、とろっとした食感を残したいなら短めに。余ったら翌日にお茶漬けにするのもおすすめです。同じ「漬けて丼にする」発想は[サーモンのポキ丼](/article/poke-don)とも共通していて、たれを変えるだけで表情が変わります。
2. 薬味たっぷりカツオのたたき(調理時間10分・2〜3人分)
市販のたたきを買ってきてもいいですし、サクの表面をフライパンで炙っても作れます。戻りガツオの脂は薬味と合わせるとちょうどよくなります。
材料(2〜3人分)
作り方
1. サクから作る場合は、フライパンを強めの中火で熱し、油をひかずに表面を各面20〜30秒ずつ焼きつけ、氷水にとってすぐ水気を拭く。
2. 長ねぎは白髪ねぎに、みょうがと青じそはせん切りにして、冷水に3分さらして水気を切る。
3. カツオを1cm厚さに切って皿に並べる。
4. 薬味をこんもりのせ、ポン酢しょうゆとごま油を回しかける。おろしにんにくは好みで添える。
炙ったあと氷水にとるのは、余熱で火が入りすぎるのを止めるためです。ここを省くと身がぼそっとしやすいので、氷水だけは用意しておいてほしいところです。
3. カツオのにんにく醤油ステーキ(調理時間15分・2人分)
生が苦手な家族がいる日や、買ってから一日経ってしまった日はこれ。脂があるので、焼いてもパサつきにくいのが戻りガツオの強みです。
材料(2人分)
作り方
1. カツオを1.5cm厚さに切り、水気を拭いて片栗粉を薄くまぶす。
2. にんにくは薄切りにする。
3. フライパンにサラダ油とにんにくを入れて弱火にかけ、色づいたら取り出す。
4. 中火にしてカツオを並べ、両面を1分半ずつ焼く。
5. しょうゆ、みりん、酒を加えて煮からめ、最後にバターを落とす。
6. 皿に盛り、3のにんにくチップと黒こしょうを散らす。
片栗粉をまぶすのは、たれの絡みをよくして身のジューシーさを閉じ込めるためです。ごはんにもビールにも合う一皿になります。
よくある質問
Q. 戻りガツオが臭いと感じるのはなぜ?
A. カツオは血合いが多く、鮮度が落ちると独特のにおいが出やすい魚です。断面がくすんでいないもの、ドリップの少ないものを選び、その日のうちに食べると印象がかなり変わると思います。
Q. 血合いは取ったほうがいい?
A. 苦手なら切り落として構いませんが、血合いには鉄分などが多く含まれているといわれています。しょうがと一緒に甘辛く煮たり、竜田揚げにしたりすると食べやすくなるので、捨てる前に一度試してみてほしいです。
Q. 買ってすぐ食べられないときは?
A. サクのままキッチンペーパーで包み、ラップをして冷蔵庫のいちばん冷たい場所へ。翌日には加熱調理に回すのが安心です。漬けだれに入れて保存するのも手です。
Q. 戻りガツオはいつまで買える?
A. おおよそ9月から11月頃までが目安です。水揚げの状況で前後するので、鮮魚コーナーの表示や産地(高知、宮城、静岡など)を見ながら探してみてください。
まとめ
秋の魚は10月、11月と選択肢が増えていきます。その入り口として、まずは今週末、スーパーで戻りガツオのサクを一本手に取ってみませんか?

